カードローンを完済しないと、住宅ローンの審査にとおらない?
住宅購入は人生における一大イベントですが、通常は住宅ローンを組んで借入れなければ購入はできません。
しかし住宅ローンは金額が大きく厳しい審査が行われるため、借入れできるとは限りません。例えば他のローンの返済中は評価が低くなります。
特にカードローンは何度も借り入れができ、完済していても返済があるとして計算されるため注意が必要です。
そこで住宅ローンの借入れを予定している場合には、住宅ローンの審査に影響が出ないようにカードローンの利用には気をつけなくてはなりません。
また複数のローンを抱えると返済が煩雑になるため、住宅ローンに加えてカードローンを利用する場合の返済計画の立て方についても調べてみましょう。
住宅ローンの審査は厳しい!他のローン利用中は要注意
どんなローンでも金融機関は審査を行って融資するかしないかを決めます。特に住宅ローンは借入額が大きいですから審査も時間をかけて念入りに行われます。
こういった審査の目的は要するに融資したお金が返済されるかどうかという点です。したがってローンの審査では返済能力が大変重要な評価基準になります。
この返済能力は通常年収で評価されると考えがちですが、支出も勘案されるという事を忘れてはいけません。住宅ローンの審査では銀行が把握できる支出として各種のローンの借り入れ状況があります。
特に現在では多くの人が何気なく利用しているカードローンの返済も審査に影響してくることが知られています。
住宅ローンの審査の基本は返済の可能性を探ること
住宅ローンだけでなくローンでは違法な金融業者を除いて必ず審査というものが行われます。金融機関はお金を貸して元本の返済と同時に支払われる利息が利益につながっていますから、貸したほうが得になります。
ならば何故審査など行うのかと思う人もいるかもしれませんが、貸したうえで返済が行われなかったら、金融機関側の大きな損失になってしまうからです。
したがって審査の目的というのは、返済されるかどうかの可能性を金融機関が持つ審査基準に照らして探り、融資は返済が見込める人だけに絞り込むことです。
返済能力の評価は年収だけでなく支出も関係してくる
では返済能力の評価はどのように行われているのでしょうか。普通に考えればどの程度の年収があるかと思いがちです。実際に住宅ローンの場合、銀行は計算式を持っていて、年収からその人が月々どの程度の返済ができるかをはじき出します。
しかし、これだけでは一般的な話にしかなりません。たとえば銀行が想定していないほどの支出があれば、この計算式の答えと食い違いが発生してしまいます。
このため銀行はこの計算式の精度を上げるため、想定できる範囲で支出についても盛り込めるようにしています。銀行が把握できる支出とは他のローンの返済額です。
審査での返済能力評価の概要
- 年収から月々の返済可能額を算出・・・(A)
- (A)- 利用中のローン返済額・・・(B)
- 借入希望額と返済期間及び金利から実際の月々の返済額を算出・・・(C)
- (B)≧(C)なら返済可能
- (B)<(C)なら返済不可
カードローンの返済も返済能力を削ぐことになる
テレビを見ていると最近必ず目にするのがカードローンのCMです。利用者を獲得するため各金融機関がしのぎを削っていて、これを読んでいる人も生活ツールのような位置付けで何気なく利用している人も多いでしょう。
しかし当然このカードローンも返済が発生することになりますから、住宅ローンを借りる際には返済能力の算定で考慮されることになります。
例えば年収から計算される月々の返済能力が10万円だとして、月々の返済が1万円のカードローンを利用している場合には、返済能力は差し引き9万円になってしまいます。
住宅ローンは借入時には返済能力ギリギリで借入れを考える人が多いですが、この1万円の差というものが、かなり影響してしまって、借入れできないというようなケースが少なくありません。
ローンの借り入れ状況は隠しておけない
それならいっそのことカードローンは利用していないことにしておこうと考える人もいるかもしれませんが、金融業界には情報共有のための信用情報データベースというものがあり、情報を隠しておくことはできません。
ですからカードローンをはじめ、様々なローンを利用している場合で、住宅ローンの借り入れを考える場合には、十分注意しなければなりません。
完済していても安心できない!カードローンの特異性
しかし多くのローンは返済していればいつか完済できます。そうすれば住宅ローンの返済能力評価には影響しません。しかしカードローンの場合完済しても安心はできません。
カードローンは何度も借入れできますから、完済したかどうかは関係なく、返済がいつ始まっていつ終わるのかは予想がつかない訳です。
このため銀行としてはカードローンは常に返済があるものとして考えざるを得ません。
カードローンと他のローンの違いを理解しよう
カードローンは他のローンと比べて大きな違いがあります。以前はローンといえば契約により融資額が決まっていて、審査が通って契約が成立すればその融資額どおりに融資され以後は完済まで返済が続くことになります。
しかしカードローンの場合には、融資額が決まっているわけではなく、決まっているのは利用限度額というもので、返済さえ行われていれば、利用限度額内で何回でも借り入れができ、トータルの融資額というものはあまり意味を持ちません。
つまり契約すれば、借入れ中でも再度借入れができて借入額が増え、その分返済期間が長くなることになります。一度は完済して返済がなくなったとしても、いつまた返済が始まることになるかは分りません。
カードローンと他のローンの比較
項目 | カードローン | 他のローン |
---|---|---|
融資額 | 決まっていない | 決まっている |
融資 | 必要になった時 | 契約後すぐ |
返済期間 | 利用に応じて期間が延長されていく | 予め決まっている |
銀行は常に返済しているものとして返済能力を算出する
カードローンはこのように従来のローンとは考え方が全く違いますから、住宅ローンの返済能力の計算でも、従来のように完済したからといって、もう関係ないと考えることはできません。
何時返済が始まるかは利用者次第で銀行が掴むことはできませんから、銀行としてはカードローンの契約が有るという場合には、常に借入れが行われていて返済が続いている仮定の下に、住宅ローンの返済能力を判定せざるを得ません。
したがってカードローンは契約しているが既に借り入れ分は完済しているから、住宅ローンを申込んでも大丈夫だと考える人もいるかもしれませんが、実際には返済しているときと同じように影響することを忘れないようにしてください。
住宅ローン申込前にカードローンは解約しよう
このため、住宅ローンを申込む場合には、カードローンは解約してしまったほうが安心です。
自分は年収が大きいからカードローンを利用していても、審査に落とされるほど返済能力は下がらないと思っていても、審査では何が問題になるかわかりません。安心はできないのです。
またカードローン以外のローンを利用している場合も、まずはそちらを返済して、しかる後に住宅ローンの申込を行った方が安心です。
住宅の購入といえば、人生の転機になるほどの買い物です。したがって何か支障なありそうな事は、万全を期して予め排除しておくことを勧めます。
人生設計が大切!カードローンも借り時に注意すれば利用可能
住宅の取得は人生の大きなイベントですが、そのほかにも自動車の購入や子供の教育資金など様々なお金が必要になる時期があります。
この他にも現在ではカードローンのように生活を行う上でお金を借りる機会はあるものです。そういった借入れが重なるとたとえ銀行が審査に通しても、返済はかなり厳しいでしょう。
そこで必要になってくるのが人生設計で、予め住宅ローンが必要になる時期が分かることによって、その時期にカードローン等の利用を控えるなどの目安にすることができます。
また時期を選べばカードローンを有利に利用できる可能性もあるので、そういったことも念頭に置きましょう。
社会人になった時に人生設計をしてみよう
人生設計というのは、そう堅苦しく考えなくても良いのです。最初は極大雑把なもので構いません。たとえば住宅の取得を考えているのであれば、いつ頃になるのかを決めてみましょう。
設計とはいってもそれはそのまま目標と言い換えても良いものです。住宅取得の時期を決めれば、それに伴って結婚だとか、子供の教育とかの時期を想定することができます。
そういった時期にはその設計を実現するためにどの程度のお金が必要になるかも見えてきます。それらが分かれば貯蓄などの計画も立てやすくなります。
人生設計の時期としては、学校を卒業して社会人になった頃が最適でしょう。社会人だけどそんな設計はしていないという人は、すぐに考えてみるようにしましょう。
大雑把な設計ができたら、徐々に詳細を決めていけばよいですし、狂いが生じたらその時点で見直すようにしてください。
人生設計に盛り込むべき項目
- 住宅取得等必要となる項目とその時期
- 費用の目安
- 貯蓄目標
- ローン利用の有無
住宅ローンを借りる場合は他のローンの借入れは見合わせるべき
先ほど説明したように、この設計ができればいつごろどの程度のお金が必要になるのかが分かります。もちろんそれまでに貯蓄ができれば良いですが、足りない場合には、それぞれローンを組まなければなりません。
設計が無ければ行き当たりばったりで借入れすることになり、ローンの時期が重複する可能性も有りますが、設計ができていれば、例えば住宅ローンを借りる際に、他のローンが重複することを避けることができます。
生活を安定させるためにカードローンを利用しようという場合も、住宅ローンの申込時期を避けて、利用を考えることができるようになります。
このように人生設計に従って住宅ローンの申込みが控えている場合には、審査が不利にならないように他のローンの借入れの計画を調整するようにしましょう。
カードローンの利用は住宅ローン借り入れ後が狙い目
カードローンの借入れを考えるのであれば、住宅ローンの借り入れ後に考えましょう。収入が増えてくれば、住宅ローンを返済しながら、カードローンを利用することは、そう難しいことではありません。
特に地方銀行にはそういう優遇のあるカードローンが用意されていることが多いので、住宅ローンを申込む時点で、そういった点についても調べておくようにしましょう。
返済計画が大切!住宅ローン返済中のカードローンの利用
ただし、いくら収入が増えようと金利が優遇されようと、返済できなければ始まりません。カードローンは便利ですが、このあたりの見極めが必要です。
そのためには自分の収支というものを知らなければなりません。返済していけるだけの余裕を見る為です。住宅ローンの場合には返済を気にしてある程度の計画性を持ちますが、カードローンはあまり気にする人はいません。
しかし返済が発生する以上、収支を圧迫するのは分り切ったことです。したがってカードローンであっても返済計画が大変大切になるのです。
自分の収支をよく理解しておかなければならない
ローンの返済といえば収入ばかりに目が行きますが、銀行が住宅ローンの審査で他のローンの返済額を気にするのと同じように、支出という点もローンの返済には大きくかかわってきます。
例えば月収が手取り50万円で、支出が30万円の人と50万円の人を比較してみましょう。この関係を図にしてみます。
収入50万円 返済10万円とする
返済可能な場合
支出30万円 | 返済10万円 | 残り10万円 |
---|
返済不可の場合
支出50万円(返済額10万円を捻出できない) |
---|
このようにローンの返済は収入で考えるのではなく、収支も考慮しなければ分らないという事になります。したがって、住宅ローンを返済しながらカードローンを借りようという場合は、まず自分の収支を理解するところから始めてください。
会社員であれば収入はすぐに分かります。自営業者でも安定した経営ができていれば概ね分ると思います。しかし支出のほうは普段気にしていなければ、はっきりとは分らないものです。
家計簿などで管理していればこの点分りやすいですが、そうでない場合には、借入れ前に自分の支出がどの程度あるのか、良く調べてみることが必要です。
返済するための計画を立てよう
大体の収支が分かってカードローンの返済は可能と判断した場合には、借入れする前に詳細な返済計画を立ててください。金融機関には返済シミュレーターが用意されているので、まず返済期間を計算します。
次にこの返済期間中の各月ごとの収支をできるだけ正確に予想します。支出には季節変動などもあるので、常に同じではないことにも注意してください。
収支が返済額を上回っている事を確認してから借入れしましょう。もし下回るような月があるのであれば、借入れを断念するか、あるいは節約できる支出を探して、その分を返済に回すように計画してください。
借り入れ後には毎月計画通りに行っているのか確認して、ずれがある場合には計画を見直しましょう。
無理な返済計画は住宅を失う事になる可能性もある
極端な場合には、カードローンの行き詰まりが影響して、せっかく取得した住宅を手放さなければならない問題に発展する場合すらあります。
したがって住宅ローンの借り入れ後、カードローンの利用が可能になったとしても、なるべく借入れはしない、借入れするにしてもできるだけ利用金額を抑えるというような注意を怠ってはいけません。
ここで住宅ローンの借入れに対するカードローンの影響についてまとめておきます。
- 住宅ローンの審査は厳しく、他のローンの返済中は返済能力の算定に影響する
- カードローンは何時でも借り入れできるため完済していても返済中と同じように扱われる
- 住宅ローンの借り入れを考えている場合は人生設計をしてカードローンの借り時についても考慮が必要
- 住宅ローン契約後にカードローンを利用する場合には返済計画で管理し住宅ローンの返済に影響しないようにする
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カードローン利用の疑問点はここで解決!